ライター山﨑 恵のブログ

音楽、日本美術、甘いものなど。好きなもののことを自由に書いていきます。

両親と奈良へ。 【1日目②・忍辱山円成寺】

なかなかブログ更新できなくて焦ってます、、、

このペースじゃ、旅行のこと書き終わるのもいつになることやら。それに始める前は「書くことなくなっちゃったらどうしよ」なんて思ってたんですが、これがどんどん出てくる。よけい焦る! もうちょっとスピード上げていきたいと思います。

 

そんなわけで前回からの続き。旅行1日目のメイン、忍辱山円成寺。

山門をくぐり短い階段を降りると、すばらしい浄土式庭園が。

f:id:megumiy:20160119193833j:plain

浄土式庭園とは仏教の中でも浄土思想の影響を強く受けたもので、メジャーどころだと京都・宇治の平等院鳳凰堂、あれとかもそう。

池をはさんで手前側(境内入り口側であることが多いです)が娑婆で、要は私たちの生きる俗世界。で、向こう側(お堂のある側)が彼岸、仏さまのいる極楽浄土の世界ってなってるんですね。

じゃ池は何なんだというと、「人々が乗り越えなきゃいけない煩悩や苦難」と説明する本もあれば、昔、私が聞いたお坊さんの話では「三途の川」だったり。

まあここらへんはざっくりでいいと思います。鏡のような水面に映る木々の緑を見ているだけで、頭の中がすうっと静まっていくような。

 

上の写真に写っているのは楼門、こちらが本堂の阿弥陀堂。

f:id:megumiy:20160119201838j:plain

ご本尊の阿弥陀如来座像は重要文化財。いかにも平安時代っぽい、ふっくらほわーんとした感じのきれいな仏さまです。が、ここの見どころはご本尊じゃなくて堂内の柱の、阿弥陀如来来迎図。

f:id:megumiy:20160119202751p:plain

(円成寺HPより写真お借りしました)

来迎っていうのは、ようは「あの世からお迎えが来た」時のこと。ご本尊の阿弥陀如来はそのお迎え役の仏さまさんですが、周りの柱にお連れの者である観音さまを描くことで、普通は平面で表される来迎図をお堂全体で表現しているんです。その発想だけでもすごい!と思ってしまいますが、この観音さまがまたどれも本当に美しい! 傷みがはげしく剥落している箇所も多いですが、一体ずつじっくり見なくてはもったいない素晴らしい出来。

 

この来迎図だけでも十分訪れる価値はありますが、私と父の本命はこれから。

 

f:id:megumiy:20160119205253j:plain

この多宝塔に安置されている、運慶作 国宝 大日如来坐像。台座の中に残っていた銘から運慶最初期の作品であることが分かっています。

 

f:id:megumiy:20160119205440p:plain

(円成寺HPより写真お借りしました)

 これがもうほんとうに、一目見た瞬間に「うわっ」て声が出ちゃうくらい素晴らしかった!! 胴回りがすっきりとして無駄がなく、顔を上げ背筋がぴんと伸びた若々しい姿、視線の鋭さ。運慶仏の特徴が、この処女作にもすでにしっかりと出ている。

 これは個人的な感想ですが、運慶による仏像とほかのものとの決定的な違いは、質感まで伝える圧倒的な写実性だと思います。その曲線から感じるのは触れた指を跳ね返してきそうな、むっちりとしたハリ、すべすべとした肌のきめ細かさ。全体のバランス。そして意志を持っているかのような、複雑で人間らしい表情。

3時間歩き通した疲れも一瞬で吹き飛ぶ素晴らしさ。ずっと見ていたかった…

 

一気にテンション上がったところで、次は柳生家ゆかりの芳徳禅寺へ。

次の記事に続きます。